〜"名物"が動かす戦国の世〜 「へうげもの 1〜6」 山田芳裕 講談社モーニング

へうげもの(1) (モーニング KC) へうげもの(2) (モーニング KC) へうげもの(3) (モーニング KC) へうげもの(4) (モーニング KC) へうげもの(5) (モーニング KC) へうげもの(6) (モーニング KC)

本当に面白いです。そして、うまい。

「上手い」じゃなくて「旨い」、という感じ。

出版された形を見る上で、マンガと小説との話の展開の仕方の違いというのは色々あると思いますが、マンガの方が一話完結、もしくはある程度の話のオチをきちんとつけてくるというのがあると、個人的には思います。

つーか長編の場合、小説の単行本に第○○話という表示自体あんまり見ないです。何巻にも渡って長丁場を用意するようなマンガでも、一巻一巻、「○○話」の形で収録されているのに。

マンガがそうなっているのは言うまでもなく、雑誌に載せられたものが(加筆などを経た上でも)そのまま単行本に収録されるから、なのだろうが、小説にそういうのが少ない理由とかはわかりません。マンガ・小説両方において、自分は雑誌派じゃなくて、本が発売されてから読む方なんで。

それはそうとして、そういったマンガを読んでいて痺れるのは、一話だけを取り出しても綺麗な短編として成り立っているのに、さらに全体として読んで大きな流れを感じさせてくれるというものです。

そして「へうげもの」も自分にとって、そういう作品です。

1話の、信貴山城に籠った松永久秀を破る話。

古田左介の、明らかに戦国物の登場人物としておかしい視点もきちんとしょっぱなから描写。さらにのちの秀吉の台頭を、ただその一戦の内に匂わせる松永の言葉と秀吉の行動。

そして秀吉の取った作戦だけ見ても面白い。さらにこの戦の結果、何を得ることができたのかという点で、秀吉と古田の違いもきれいに見せてくれます。

また別の巻の話ですが、明智光秀の最期にまつわるエピソードが、凄い大胆で、いいです。


  • このマンガを読んでいて思い出したのが、古田織部にまつわるミステリー。北村薫の「空飛ぶ馬」の一番はじめの話「織部の霊」。

これを読んでいたので、古田左介が、まあ、ああなることを知ってしまっているわけで、それがなんとも。

今、読み返している途中ですが、古田織部に関するところを引用。

織部というのは人の名前ですか」
 それは間違いない、確か利休の弟子か何かだった。
「そうです。――古田織部正重然(ふるたおりべのしょうしげなり)」
 先生は、一音一音考えるように言って、
関ヶ原の合戦の頃の人ですね。しかしもちろんこの人の作ったものが織部というわけじゃあない。今でもこの茶碗のようにどんどん作られていますからね。つまり、この人の好みだとされるのが織部という形式です。それまでの茶器とは違った大胆なデザインのものですね」
「すると、型破りがひとつの型になってしまったというわけですね」
「まあ、そういえばそうです」
(p22)

へうげもの」のなかでは、古田左介だけではなく、当時の茶人の師とあがめられた利休までも、古来の型を破ろうと利休自身の戦いのために権力のなかへと身を捧げます。

古典というのは受け継ぐ者から見た姿とは違って、元来は革命的なものなのでしょう。

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

  • 関連として↓を購入。バイト先の返品棚から救出がてら。

織田信長 最後の茶会 (光文社新書)

織田信長 最後の茶会 (光文社新書)

へうげもの」で本能寺の変の前において行われた(?かどうか、史実かどうかはまだ知らない)宴が描写されていていたというのも自分には面白かった。↑では「安土城、名物茶道具―信長と唐物」という章もあるので内容としてぴったりではないかなあと思い購入。

名物から見た本能寺の変、いかに。

 MMD

最近MMDにハマってます。

簡単にいえば、キャラクターを自分の好きなように動かして、踊らせたりすることができるソフトです。

いや・・・、日本は恐ろしい国。こんなのがフリーソフトだなんて。

D

すげえ・・・。

正直、個人的には不気味の谷な感じなんですが、何というか不思議な感覚を楽しませていただいてます。

主眼はスカートの動きのようですが、手足の動きの時点で、もう信じられない・・・。

D

なんというか情緒があります。

単に技術の問題じゃない良さ。納得の「日常のひとコマ賞」。

これは是非とも、いすずの社長に見せるべき。

「精霊の守り人」上橋菜穂子 新潮文庫

精霊の守り人 (新潮文庫)

精霊の守り人 (新潮文庫)

女用心棒バルサと、彼女がひょんなことから関わりを持ち、命を守ることになった新ヨゴ皇国の第二皇子・チャグム。チャグムの小さな体に宿った雲の精の卵を狙う異界の生き物から、チャグムを守ることが出来るのか!?

文章がいいです。

バルサとタンダとの関係が、なんか「働きマン」とかの、仕事と恋愛のはざまに苦しむような話を、彷彿とする気がする。

互いの心の中に過度に踏み込み過ぎない、微妙な会話とか。

いや、そうすると「働きマン」は少し違うか・・・?

とりあえず、大人の恋愛って感じです。

「ACONY 2」冬目景

ACONY(2) (アフタヌーンKC)

ACONY(2) (アフタヌーンKC)

冬目景はいいなあ。

それにしても何で背表紙の絵が1巻と一緒なんだろう。もったいない。

 「シャングリ・ラ (下)」池上永一 角川文庫

シャングリ・ラ 下 (角川文庫)

シャングリ・ラ 下 (角川文庫)

面白い! 

面白い・・けど、なにか物足りない。

100点満点で点数をつけたら、決して100点にはなりえない、99点のような感じ。

勢いが凄いのだけれど、どこかついていけない。

殺しても死なない、また殺しても死なない、小夜子とか小夜子とか。

あるいは変態涼子とか。

それから「おとおさーん」で大変身するモモコさんとか。

そこらへんが、劣化した少年マンガテイストに思えてしまう。

アリはアリなのですが。


何と言ったらわからないと思いながら読み終えたら、筒井康隆の解説がまさに自分の言いたいことを言ってくださった感じで、びつくり。

これが文章力というものか、と解説を読んで思う。



【追記】
と書いた後に、関連があるような言葉を発見。

イヤボーンとは - はてなキーワード

  イヤボーン

普通の少年少女が危機に陥った際、「いやーっ!!」と叫んだ時に秘められた超能力が発揮され、敵が「ボーン!!」と撃破される展開のこと。

さらに広く、感情の爆発がきっかけで主要キャラクターが何らかの能力を発揮し、敵を圧倒する展開全般を指すこともある。この定義で捉えれば、超サイヤ人などもイヤボーンの一つと考えられるかもしれない。

漫画やアニメにおける典型的なパターンの一つであり、制作者が安易にこの展開を繰り返し批判を浴びることも多い。

まあ登場人物は"普通"ではないんですが。

というか全員、普通ではない。

 「シャングリ・ラ (上)」池上永一 角川文庫 

シャングリ・ラ 上 (角川文庫)

シャングリ・ラ 上 (角川文庫)

「悪魔が来りて笛を吹く」

旧装丁を古本屋にて入手。

最後の種明かしは鳥肌もの。