伊藤計劃『ハーモニー』

昨日購入。

ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

もちろん読書中。まだ序盤なので間違ったことを書いているかも。

  • 買った時のわくわく感が「邪魅の雫」級であった。「あらかじめ期待などしないほうが作品を楽しめる」という自分のセオリーを無意識に破る。
  • 伊藤計劃本人のブログでもあらかじめ書かれている通り、序盤から百合な雰囲気。京極夏彦の『魍魎の匣』の楠本が「精神的百合」なら、『ハーモニー』は行動が既に百合です。
  • 虐殺器官』が「安寧」を得るための高度管理社会だとしたら、「ハーモニー」は「健康」をお節介にも全人類に与えるための高度管理社会?作中の言葉を借りれば「〈帝国主義的〉生命主義」
  • 虐殺器官』と同じ時間軸?っぽい。「あれ」があったのも英語「圏」、だしねえ。作品設定中で誰が「大暴動」と呼んだのかは知らないけれど、僻地で起これば「虐殺」、発展国で起これば「大暴動」「大災禍」というのには、「暴動」には直截的には人が殺されるという意味は含んでいないし、メタ的な意味ではなく作品世界内で皮肉を言いたくなる。きっと世界各地で起こった「虐殺」と米国等とではほぼ同じことが起こっただろうに。もしそれが起こった当地の人々が「暴動」であるとか「大災禍」であると表現したのなら、自分たちの政治的にも文化的にも進んでいる地域で「虐殺」が起こったとは表現したくなかったんではないかなあと、うがって考える(ただ単に混乱は「虐殺」までいかなかったからなのかもしれないが)。
  • 某作品へのオマージュらしき描写が、ちらり。
  • RPGをぶっ放す場面で一瞬、攻殻機動隊の素子のイメージがよぎる。
  • 作中に出てくる「RRW = 信頼性代替核弾頭(Reliable Replacement Warhead)」は実在する兵器、というか現在進捗中の事物、らしい。高信頼性代替核弾頭 - Wikipedia自分が知らないだけですが勉強になります。


虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS