「秋期限定栗きんとん事件 下」米澤穂信 創元推理文庫

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

『なあ常悟朗。俺は思うんだが、お前は結局、小市民じゃないんだよ』
うん。
そうだね。
なにをいまさら。   (p.139)

前の二作、特に「夏期限定トロピカルカフェ事件」では、途中までは「小佐内さん危うし!」と読者は感じるが読み進めるにつれ小佐内さんの復讐という「思惑」が明らかにされていく、という『』な展開でした。
今作「秋期」でも上巻の終盤では「小佐内さんの思惑が読めない。何をしようとしているのかわからない」という気分につつまれ、下巻でのの展開を予想してしまう。
ところがどっこい。下巻での小佐内さんは意外や意外、。それがこれまでのシリーズでのドキドキさせる怒涛の終盤に病みつきになった身としては物足りない、気もするかなぁと思う(笑)。その一方でどこか安心感を覚える。
小佐内さんと子鳩くんとの再会を、待っていました。

全体の印象としては、ずいぶん理屈っぽい恋愛の物語。でもそれが彼らなりに、たどりつきたいと思った境地。