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やまかぜではなく。そして江口はさんずいを取りましょう。
ブックオフで発見した山田風太郎「室町少年倶楽部」(文春文庫)をやっとこさ読了。
- 作者: 山田風太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1998/08
- メディア: 文庫
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室町時代というのは他の時代と比べて資料に乏しく小説の題材としてはこれまで扱われてこなかった。そこに果敢に挑んだのが山田風太郎――というのは他の方の受け売り。
山風の明治ものは実在の人物の使われ方が独特で山風史観というか、ある種のパラレルワールドが出来上がっている、それでいてそれが他の歴史小説よりも実際の世界に肉薄しているように思えたりしてかなり好き。
で、これが自分のはじめての山風の室町ものなわけで。
面白かったです。
「室町の大予言」は「くじ引き将軍」の話。意外なところで意外な人がひょっこり出てきてそこら辺は山風の得意技?将軍義教ととある人物との共通点からこういう話が出来てしまうのはすごい。
で、表題作の「室町少年倶楽部」は応仁の乱前史。足利義政といえば暗君の印象があるのだけど、山風流ではいかに。
ここででてくるのは解説者に「私が読んだあらゆる官能描写の中でもベストに数えられるほどの出来栄え」と書かせる江口さん登場。これ目当てで読むのも・・まあありでっせ。
「少年倶楽部」だけあって義政の少年時代から書き起こしているのだけれども、人間が時の流れによっていかに変わるかに主眼を置かれた本作はどうしても切なくなってしまうラストを用意する。